ポーカープロ転身を決断する間違った理由・瞬間

駆け出しプロとして巣立とうとする瞬間に、彼らはいったいどいういう決断ミスを犯してしまうのでしょうか?

south park bank
仕事を辞める前に十分に貯蓄しておくこと

先月の話ですが、 とても残念な話が伝わってきました 。あるプレイヤーが Micro Millions トーナメントで $60,000 を獲得して、直ちに仕事を辞めたのですが、その後銀行にその金の引き出しを拒否されてしまったというのです。

そのプレイヤーには同情しますが、この一件はポーカーでプロになるということはとても大きな決断なのであって、思い付きで行うようなものではないのだ、ということを改めて思い知らされてくれる手厳しい教訓なのだと思います。

私がポーカー業界で働いてきた 10 年の間に、残念ながらこういう、あるプレイヤーが今はプロになると決断すべきではなかろうという時にプロの世界に飛び込んでしまうという、同じような話を数多く耳にしてきました。私自身はプロにはなりませんでしたが、私も金融業界の管理職という仕事から、フリーランスのポーカーライターへといういささかリスキーな転職を行いました。ですからポーカーだけを収入源にするということがどんなものかを個人的経験として語ることは出来ませんが、一般的ではないキャリア変更を行う人たちに共感は持っています。

多くの人はプロになりたくて仕方がないようで、そのために、仕事を辞めるという決断をあまりに拙速に下してしまっているようです。以下の理由で、あるいは以下の瞬間にあなたがプロになろうと思い立っているのなら、どうか辞職届を上司に手渡すのを思いとどまって欲しいと私は考えています。

大勝ちしたから

Ryan Riess
「俺は世界一のプレイヤーだ」

もしあなたが見出しを見ただけで、それって大事だよなと気づかないとしたら、それだけですでに、もまだあなたがプロになるには早すぎるというのが明らかです。短期的な成績は、それがいい結果だろうと実際の能力の反映にはならないのです。

結果へのスキルの介在という意味でポーカーは宝くじとは違うのは確かですが、それでもかなりの割合で宝くじの高額当選者はその後破産する.という事実は触れておく価値があると思います。なぜそんなことになるかというと、単純に彼らは財産を維持する技術というものを学んでいなかったからで、その点において、通常の方法で金を時間をかけてこつこつ稼いで貯めた人がその過程で財産管理の技術を学んでいるのと違う所なのです。

もしあなたがキャッシュゲームをプレイしてバンクロールを管理しつつ $1 ミリオンを稼ぎ出したのだとしたら、多分あなたはそのプロセスで財産を管理するスキルも同時に身に着けており、金をリスペクトすることも学んでいるでしょうから、自分の財産を維持できることでしょう。でももしあなたが $5 Spin & Go をプレイして 7 桁賞金を手にしたとしたら、同じことは言えないのです。

バンクロールが十分でない時

Broke Living
「破産生活」は誰でも出来るわけではない

これもまた言うまでもないぐらい明らかであるように思えるのですが、このことに耳を傾けない人は数多いのです。プロになるためには十分な額のプレイ用バンクロールと、それとは別会計になった生活資金がなくてはなりません。いろんな人から聞いた話を合わせ考えるとどうやらプレイ用資金に上積みして、3 ヶ月から 6 ヶ月ぐらいは暮らせる程度の資金が必要なようです。

もしあなたが 1 ヶ月の下振れを経験したとして、それで借金生活に転落しなくてはならないようであれば、あなたはプロとしてのキャリアを踏み出す準備が到底出来ているとは言えません。そんなやり方は危険というだけでなく、そのことで精神的に受けるプレッシャーはあまりに大きいため、あなたがベストのプレイをすることは不可能となるでしょう。が

今の仕事が嫌だから

Jerry Maguire
仕事を辞めるシーンの中でも名場面

誰だって映画 ‘Jerry Maguire’(邦題「ザ・エージェント」)の名場面である、同僚の前で声高に自分は辞めると宣言するシーンを自分でも演じたいと夢見たことがあるはずです。 誰でもみんな「男を見せて」怒りの炎をオーラのごとく発しながら職場を去りたいものですから。

その仕事が嫌いだから辞めるというのはそれ自体いい考えとは言えません。私自身での経験からも言えるのですが、あなたの今の仕事もひどい仕事なのかもしれませんが、その仕事を無くすだって、それと同じぐらいひどいことのです。失業状態のほうがよっぽどそれよりひどいのですから。そんなわけでポーカープロになるという選択は、ひどい仕事に留まる、あるいは辞めて失業状態に陥る、このどちらよりも素敵な選択肢のように見えてきます。

ですが、このゲームは残酷なゲームであって、多くのプレイヤーはそのプロとして生きていく上でかかってくるプレッシャーと立ち向かえるだけの準備が出来ているとは言えません。どれだけあなたが自分の仕事からストレスを受けていようが、安全ネットのない生活、下振れで負け続ける生活のストレスのほうがはるかに強烈なのです。

9 時から 5 時までの生活が嫌だから

Sleepy poker
目覚まし無しで生きるためだけに
仕事を辞めないこと

仕事自体は嫌ではないのしても、朝早起きして長時間勤務するのが嫌だという場合もあるかもしれません。あなたが週末だけが人生だというような仕事に就いている場合、月曜の朝は最悪の時間でしょうね。

その意味でポーカープレイヤーであることで手に入る柔軟性というのはとても魅力的なのは確かです。 でも自分で時間をやりたいようにやりくりできるというだけでは、新たなキャリアへと進水するための理由としては不十分です。その仕事自体好きでなくてはならないのです。

また、フリーランサーというライフスタイルには多分あなたが考えたこともないようなネガティブな側面もあるのです (その生活を 10 年近く続けているこの私自身がそれはよく分かっています)。この生活には大きな孤独感に襲われることがあります。あなたの友人のほとんどは通常の仕事をしているでしょうから、木曜日の朝 11 時に付き合ってくれる人などいません。また、自分へのモチベーションは自分で維持しなくてはならないのです。

誤解しないでほしいのですが、私自身はこの生活を気に入っています。ただ、スケジュール通りに働くという環境には、あれはよかったなという部分も多々あるということです。

あなたがポーカーが好きでどうしようもないから

Love poker

ここまで述べてきたのは、自分にポーカーが向いているんだと確信できていない限りは、プロの世界に飛び込むべきではないという話でした。では、あなたがポーカーを愛して止まないというのであれば、それはもう間違いなくプロになるべきなのでしょうか?いえ、そうではないのです。

「自分の好きなことを仕事として追い求めなさい」というのは、あまりに使い古された、誤ったアドバイスだと思います。経済的にそれが成り立つかどうかという考慮もそこには必要だと私は考えます。

あともうひとつ考えなくてはならないのは、もしかしたらポーカーが今楽しくて仕方がないのは、それが趣味だからかもしれないということです。これが仕事になった途端に、もしかしたらそれはもう楽しくなくなるかもしれません。特にその仕事で困難に直面しているという時期が訪れた時には。

私の友人でメンタルゲームコーチである Jared Tendler が何度も述べているのが、ほとんどのプレイヤーが(メンタルゲームという観点から)最悪の下振れを経験するのはプロに転じた直後である. ということです。請求書の支払いのためにポーカーに頼らなくてはならないというプレッシャーは、下振れが続いた時にそれに耐え抜くのを遥かに難しくしてしまうのです。プロになる以前は下振れを経験したところで、ポーカーへの愛と仕事からの収入というコンビネーションでそれに打ち勝つことが出来たのです。でもそれがないと、ポーカーという世界はとても孤独な世界にもなり得るのです。. 

いつプロ転身を決断すべきなのか

McDonalds
まあ、この人は仕事を辞めてもよさそうですか

では現実的にはどうなのかというと、あなたが仕事を辞めてポーカープロになるという理由として正しいのは、ポーカーをプレイして稼げる見通しが、あなたの今の仕事からの稼ぎよりもはるかに上回っているという場合、ただそれだけです。

ですからまず何より、あなたがポーカーをプレイして得ている額が時給換算で、現在の仕事よりもはるかに上回っていなくてはなりません。そしてその計算は、十分なサンプル数の元で行われなくてはならず、あなたが神のごとく上振れしたある月だけを選び出してはならないということは、言うまでもありません。

しかしながら、考慮に入れなくてはならないのは時給だけではありません。将来に渡っての見通しはどうなのでしょう?あなたが就いている仕事は今のところはロクでもないかもしれませんが、将来もっと面白く、収入も高い仕事へ道が開けるようなものかもしれません。もしあなたの今の仕事がマクドナルドでのアルバイトなら、ポーカーでのチャンスのほうが確かに高いと言われても納得がいきます。でももしあなたが今やってるのが Google でのインターンだったり、医学部の学生だとしたら、数年後の未来の明るさではそちらがどう考えても上です。

また将来の見通しを立てるには、あなたのプレイヤーとしての可能性とも正直に向かい合わなくてはなりません。あなたは今 $100NL で他を圧倒しているかもしれません。でもそのうちあなたは $25/$50 のゲームでも同じように勝てるようになると断言できるでしょうか?あるいは今のゲームがもっと厳しくなってきたとしてもまだ勝ち続けられるでしょうか?これは難しい質問であって、それに答えるには、そうしたレベルで今勝てているような他のプレイヤーからの偏見のない意見が必要となることでしょう。

オールオアナッシングではない

Vanessa Selbst
Vanessa はプロのキャリアを歩みながら
弁護士資格も取得した

また、多くの人が新たなキャリアへと転身するにあたって、現在の全てを捨てて新たな道に賭けるというオールオアナッシング的な飛び込みをしているというのは注目に値します。でもプロになると決める前に、今の仕事の時間を減らして、その分ポーカーをもっと多くプレイするという道は全くないのでしょうか?今の世の中、多くの雇用者たちがある程度のフレキシビリティーを提供しており、あなたは「退路を断つ」ことなく新たな道を模索できるようになっています。そういうやり方は、自分がマネープレッシャーがより強い中でも勝ち続けることが出来るかを試し、ポーカープロというライフスタイルが自分に向いているかを見ることが出来るという意味で、いい方法だと思います。

私が目にするポーカーをプレイしている人々の中で、一番幸せなように見える人たちは、プロのプレイヤーではなく、ポーカーをシリアスな趣味ととらえている人たちです。彼らはポーカーを副収入源としてとらえており、ポーカーに本当に一生懸命に取り組んでいます。でも一方で彼らには仕事という安全ネットが成績が思わしくない時にもあるので、そのおかげでポーカーへの情熱と興味を失わずに済んでいます。

私は何もプロになるなとは言いません。PokerStrategy コミュニティには本当に才能豊かなプレイヤーたちがいて、そういう人たちはプロになるべきだとおもいます。特に若くて、(家族などへの)責任がないという立場の人たちはそうすべきです。ポーカーというものは、楽しんで、金を稼いでしかも世界中を旅するという素晴らしい機会を与えてくれるのですから。

問題となるのは、あなたがポーカーを何かからの逃避場所にしてしまった時です。ポーカーをキャリアとして選ぶべきなのは、その他すべてのオプションを全部検討し尽したうえでの論理的な選択がそれだという時なのです。

あなたはプロのポーカープレイヤーですか?プロになる前にどういう事柄を考慮しましたか?プロになろうとしている人にその前に何かアドバイスはありませんか?コメント欄にあなたの声をお寄せ下さい。

Barry Carter

Barry Carter

は PokerStrategy.com のエディターで The Mental Game of Poker 1 & 2 の共著者です。

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